今日は「うちがキングダム」を全力推薦。
日本を揺るがす、我が家の独立奮闘記。父、私、弟の三人で地方移住――その続きに待っていたのは、訳あって王女を名乗ることになった高校一年生ミキの、生活と政治と家族のごった煮だった。舞台はビッコミ(小学館の青年誌横断Webサイト)。第1話から説明できるのに言葉にしたくない面倒くささが、妙に生々しい。

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※ここから先は軽いネタバレを含みます
まず一言レビュー
「国」は地図に描くより先に、生活習慣と約束事の積み上げで立ち上がる。
この漫画は、家訓・炊事・交渉・予算会議・恋心・近所づきあい――全部ひっくるめて内政チュートリアルにしてくる。台詞は軽妙、設定は鋭利。生活系と政治系の橋渡しとして、今読みたい一本。
作品データ
- 作品名:うちがキングダム
- 原作/作画:森巡る(原作)/砂糖野しおん(作画)
- 掲載:ビッコミ(小学館/週刊スピリッツ系タグ)
- 更新:作品ページ表記はスピリッツ系タグ、直近話の公開日は2025年8月25日付。エピソード欄には「日曜更新」注記あり。
- 導入:父・娘・弟の3人が地方移住→家庭内に主権を持つという奇手で、生活の全部を取り回してみる。主人公ミキは王女を名乗り、家族会議は閣議に進化。笑えるのに刺さる。
ここが面白い
1)主権=家事。国政=日常。政治を生活に降ろす発想
法や外交の比喩に走らず、買い出し・炊事・当番表・小口管理・近所折衝といった“生活の運用”で国家運営を語る。議題は夕飯だが、論点は税と福祉。この地続き感が、現実を読み替える視点をくれる。
2)ミキの一人称が強い
「説明するねーーー」と読者に向けて扉を開ける語り口が、作品の体温を決めている。自分で面倒を抱え込みがちな良い子が、政治の言葉で自己主張を学習していく成長譚としても読める。
3)地方移住の綺麗ごとじゃないポイントを拾う
移住はロマンだが、実務は人間関係とコスト。空き家の手入れ、地域のルール、学校・仕事の動線、自治会・商店会の力学。作品はここを笑いとスピードで飲み込みつつ、「誰のための暮らし?」を問い続ける。
4)レギュレーションの設計がうまい
家族内の“法”を作るのは、だいたい食卓。合意形成の手順(議題→提案→反対意見→妥協案→次回持ち越し)を絵で見せるから、会議マンガとしても読後感が良い。エピソードの切り方も週刊節。
5)ビッコミの待つと無料と相性が抜群
チャージ機能と更新ペースが、「次の合意は来週」の作りと噛み合う。待つ間に、自分の家の“政”を見直したくなる。
キャラクターメモ
- 早川ミキ:高校一年生・王女。内政オタク化が止まらない。家出予防=福祉政策だと気づいてから強い。
- 父:現実担当の首相格。理想と言い訳の折衝役。財源(=収入)の話になると急に饒舌。
- 弟:野党。だが最重要ステークホルダー。承認要求の扱いで政策が変わる。
読み口とテンポ
- ページの空白の使い方がうまく、ギャグ→内省→決議の切替が速い。
- 1話内に起案→紛糾→暫定合意が収まり、クリフハンガーは次の生活課題。日曜夜に効くタイプの連載設計。
どこから読む?
- 公式のシリーズページで全体概要と各話案内を確認→無料区間からお試し。
- エピソードページでは「待つと無料」説明が出るので、チャージ運用で追うのも良い。
公式:シリーズページ/最新話ページへ。
相性良し作品
住みにごり(家族という制度の暗部を覗く)https://bigcomics.jp/series/84b9dcef940f4
ランジェリー・リリィ(昭和の価値観と労働・制度を個人史に落とす)https://bigcomics.jp/series/68dce38c765bf
同じくビッコミ内で、生活を制度・文化から読み解く軸が強い。気分の受け渡しがしやすい。
まとめ
「うちがキングダム」は、国をミニマムに再発明する漫画だ。地に足のついた生活描写で“政治”を押し付けず、笑いと速度で自分たちの暮らしの運営権を奪い返す。地方移住の現実と、家族の合意形成の難しさを、ここまで明るく描けるのは強い。今週の議題は何か。次の食卓が楽しみだ。
公式リンク
- うちがキングダム|シリーズページ(ビッコミ):https://bigcomics.jp/series/cfa94c1f2fec5
- うちがキングダム|最新話の一例(第8話・日曜更新注記あり):https://bigcomics.jp/episodes/d2f9b4a42b17a bigcomics.jp+1